人気ブログランキング | 話題のタグを見る

動物病院よ、本当にそれでいいのか

前の記事の続きです。

そんなわけで、我が家の愛犬「うに」のカルテの開示を求める連絡を、私からC動物病院の院長にしました。
日本獣医師会が、10年以上前にカルテを積極的に開示すべきという方針を打ち出していること、特に小動物(犬や猫が典型です)においては、それを強調していることを伝えました。飼い主として、愛犬の体のことを知っておき、何かあったときに、別の獣医師に伝えられるようにしておきたいという気持ちは、当然のことではないか、という心情論も併せて伝えました。

しかし、C動物病院の院長は、カルテを開示する法的義務はない、カルテの保存期間は3年であるからそれ以前の物を開示する義務はないというものでした。所属している都道府県獣医師会にも確認したが、法的義務はないというものだったと言い、私の話に耳を貸しませんでした。とにかく、獣医師会に私から再度確認してくれ、の一点張りでした。

なるほど、カルテの開示義務が法律上のものではないことは、私も法律家ですから分かっています。獣医師法で作成・提供が義務付けられているのは、診断書であって、カルテそのものではありません。日本獣医師会が開示すべき、としているのは、あくまで努力義務であって、法的義務ではないと考えられます。

だとしても、です。C動物病院よ、本当にそれでいいのか、ということです。

人間に関しては、請求があった場合にカルテを開示しないということは、現在、到底考えられません。開示を拒否することそのものが、誤診、医療過誤をしましたと言っているようなものです。カルテの開示を拒否することの正当な理由など、本来ないのです。
そして何より重要なのは、獣医師と患者の間を繋いでいるのは、信頼関係です。これは、人間の医師と患者の関係、弁護士と依頼者の関係でも同じです。
患者が求めたことで、法的義務でないとしても努力義務が課されていることに対して、特別な理由もないのに拒否することは、患者との信頼関係を破壊することです。
もちろん、私の場合は、別の病院に行くという前置きをしていますので、C動物病院としては、私に対して信頼関係を繋ぐことを放棄したのかもしれません。しかし、ある顧客を粗末に扱ったことは、そこにとどまらず、嫌がおうにも拡がっていくものだと思います。「そういう動物病院だ」という評判は、私が広めなくても、広まっていくのだと思います。

もちろん、私から名指しでこの動物病院の悪い評判を広めようなどとは思っていません。しかし、こういう対応をしていては、先が知れてるな、と思うのです。

とはいえ、私も法律家です。法的観点の拳を振り上げた以上は、都道府県獣医師会だけではなく、日本獣医師会、そして、獣医を管轄している農林水産省等の関係各機関にできる限り接触しようと思っています。

ペットは家族です。それに反するような獣医師の分野の悪しき慣行は変えていかなければなりません。そのための一歩です。

「うに」


by t-nishimura-kflo | 2017-12-03 22:00 | 雑記

京都の弁護士西村友彦が日々考えたことなどを書いています。


by t-nishimura-kflo