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友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」 ー 読書日記

昨日に引き続き読書日記です。本年二冊目は
「友情 平尾誠二と山中伸弥『最後の一年』」です。

友情

私は、この書籍に触れるまで、ラグビー元日本代表、元日本代表監督もされ、一昨年53歳の若さで逝去された平尾誠二氏と、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞された山中伸弥氏が懇意にされていたということを知りませんでした。
私が平尾誠二氏を初めて知ったのは、同氏が神戸製鋼で現役選手をされていた頃で、神戸製鋼が日本選手権で七連覇していたまさに無敵の時代でした。私は、アメフトでニューイングランド・ペイトリオッツのファンであるように、他のスポーツでも長期間無敵のチームのファンになる傾向があり、ラグビーでは神戸製鋼ファンでした。平尾氏が現役を引退されてから神戸製鋼の強さに陰りが見え始め、今では長期間王者から遠ざかっているのと歩調を同じくして、私もとんとラグビーを見なくなっているのですが。

そんな神戸製鋼ファンであった私からすると、平尾氏は、プレーが凄いだけではなく、ルックスもよく、非常にクレバーで、キャプテンシーがあって、現役引退後はラグビー界の改革にも取り組まれた、天はこの人に何物与えたんやという完璧のような方でした。平尾氏の死には少なからずショックを受けました。

平尾氏と山中氏がいかにして友情を深めていったのか、共通点は何であったのかが知りたくて、この書籍を手に取りました。

詳しくは書籍に譲りますが、両氏が同学年で、山中氏が神戸大学医学部時代にラグビー部に所属していたという外形的な点だけではなく、「物の考え方」が共通しておられたのであると思います。第3章の対談集の最後の方、「世界の壁にどう立ち向かうか」というところで、日本が世界で戦うためには、「日本人にしかできない部分で、しかも非常に大切なことは何かを、一生懸命考えること」(山中氏)だ述べ、平尾氏もその考えに同調しておられます。平尾氏は、ラグビー界で日本が世界と戦うためにどうすればよいかを常に考え、実践してこられた方ですので、両氏の考え方は特にこういった部分で非常によく共通したのではなかったかと思います。

そして、上の山中氏の言葉は、「日本」を「自分」「自社」に置き換えると、あらゆる社会、組織に妥当するのではないかと思います。その社会、組織で、自分が戦うためには、自分しかできないことで、しかも、その社会、組織で非常に大切なことは何かを一生懸命考え続けなければならないのだと思います。

私が仕事をしていく上でも、示唆に富んだ一冊でした。

末尾になりましたが、平尾誠二氏には、この場を借りて、哀悼の意を表するとともに、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。


by t-nishimura-kflo | 2018-01-04 23:44 | 弁護士業務雑感

京都の弁護士西村友彦が日々考えたことなどを書いています。


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